髪の毛は、ミクロの世界で「ありえない」ことになっています。
このページでは、そのリアルを解説していきます。
「頭髪」「毛髪」「髪の毛」「髪」とは?
「毛」は皮膚の一部が変化してできた、死んだ細胞の集合体です(死んでいるから切っても痛くないのです)。
「毛」の本体を「毛幹」、皮膚内におさまっている部分を「毛根」、そして「毛根」の根元の球状になっている箇所を「毛球」といい、「毛球」には結合組織が入り込み、「毛乳頭」をつくっています。
(参考)
人体に生える「毛」の中で、特に頭部に生えるものを「頭髪」「毛髪」「髪の毛」「髪」と呼びます。
毛髪の基本構造
髪の毛は『のり巻き』のように、内側からメデュラ(具)・コルテックス(ごはん)・キューティクル(のり)と、三つの層でできています。
● コルテックス(毛皮質) 『のり巻きのごはん』同様、髪の大部分をしめています。
その構造は、根元から毛先まで縦方向につながっていて(枝毛等、髪が縦に裂けるのはこのためです)、『ごはん』と同様に水となじみやすい性質があります。
パーマ剤やカラー剤は、この部分に作用します。
● メデュラ(毛随質) 髪の中心部分で『のり巻きの具』とは程遠く、空洞化しています。その「空洞」はとても細く、他の陸上哺乳類のような強い保温効果は期待できません。残念な存在です。
● キューティクル(毛小皮) 『のり巻きの海苔』が『ごはん』がくずれるのを防ぐように、コルテックスを外部刺激から守っています。
「タケノコの皮」のように、根元から毛先方向に4〜8枚重なっています。
無色透明で硬く、水をはじく性質があります。
毛髪のミクロの世界
● キューティクル(毛小皮)の微細構造
キューティクル一枚一枚は、表面からエピキューティクル・エキソキューティクル・エンドキューティクルと、三層構造になっています。
@ エピキューティクル
硬く、表面は疎水性で科学的なダメージには強固ですが、ブラッシング等の物理的刺激には薄弱です。
A エキソキューティクル
スポンジ状なのですが、「水分では膨潤しにくい」と矛盾しつつ、科学薬剤には薄弱です。
B エンドキューティクル
柔らかく親水性で最弱です。
● コルテックス(毛皮質)の詳細
多数の「皮質細胞」が縦方向に連なり、「メラニン色素」が点在しています。
● メラニン色素
「髪色」を決定する色素で、「米つぶ状」の顆粒です。
● 皮質細胞内部の微細構造
1.ポリペプチド鎖
皮質細胞内部の一番微細な細胞です。
2.プロトフィブリル ポリペプチド鎖が2本、ねじれながら集まったものです。
3.ミクロフィブリル
プロトフィブリルが8本集まったものです。
4.マトリックス(間充物質) ミクロフィブリルをつつみ込むように存在しています。
5.マクロフィブリル 「マトリックスにつつまれたミクロフィブリル」の集合体です。
6.皮質細胞
多数のマクロフィブリルが縦方向に連なり、その周りを非ケラチンタンパクが埋めています。